I-27-7. リアルタイム処理に対する評価項目と留意点

リアルタイムシステムの性能評価について、全体のパフォーマンス、処理のスループット、全体の優先順位、デバイスドライバの処理方法などの観点からみた評価項目と評価時の留意点を説明する。またタスク分割の設計評価についても解説する。

【学習の要点】

* リアルタイム処理の評価項目としてパフォーマンス、全体の優先順位、デバイスドライバの処理方式がある。

* タスク分割の設計評価として、キューの利用、排他制御、同期の利用に関する評価が考えられる。

図I-27-7. リアルタイム処理の評価項目

 

【解説】

1) 評価項目と留意点

* パフォーマンス

- 頻繁なコンテキストスイッチによるパフォーマンスの低下が起こらないかタスクの切り替え頻度を確認する。

- カーネルによる全体のスケジューリング方式と、アプリケーションの割り込みの頻度といった動作の特徴が合致しているかを確認する。

- パフォーマンス指標の一つとしてスループットが用いられる。スループットは、システムへの入力に対して生成できる出力の比率と定義される。スループットにより、ハードウェアやソフトウェアを含むシステム全体のパフォーマンスを計量することができる。

- システムコール単位でパフォーマンスを計測することもある。

* 全体の優先順位

- プリエンプションの発生タイミング、処理の遅廷などからタスクの優先度を決定し、リアルタイム性を優先した順位付けを行う。

* デバイスドライバの処理方式

- デバイスドライバの動作手順に着目し、シミュレーションモデルや実際の計測によりパフォーマンスを評価し、避けられるボトルネックなどを特定する。例えば割り込みに与える優先度などを検討する。

- デバイスドライバの動作手順は、処理要求待ち、入出力キューの作成、入出力の開始、割り込み処理に際してアプリケーションインターフェイスを起動、入出力の終了、と一般になっている。

2) タスク分割の設計評価

* スケジューラビリティによる分析が、タスクの設計評価の一つとして挙げられる。

* 使用するスケジューリングアルゴリズムに基づいて全てのタスクがリアルタイム性を維持し、かつ最適なプロセッサ利用率を達成できるかを分析する。

* レートモノトニック分析(Rate Monotonic Analysis: RMA)がリアルタイムシステムではよく使われる。

* また、キューイング、排他制御、同期に関してオーバヘッドの大きさを確認することも行われる。