II-24-2. 組み込みシステム開発手順と関連文書

組み込みシステム開発工程の各ステップで利用できる各種の技法を説明し、ハードウェア構成図、ソフトウェア構成図、制御データフロー図やコントロールフロー図など、それぞれの手順で生成される成果物の概要と位置付けを解説する。

【学習の要点】

* 機器が高機能化・複雑化するに伴い、複数の開発者間での意思疎通のためにも組み込みシステム開発工程の各ステップにおいてドキュメントの重要性が高まっている。

* 各工程での成果物としては、ハードウェア構成図、ソフトウェア構成図、制御データフロー図やコントロールフロー図などがある。

* ソフトウェアの開発工程であるソフトウェアプロセスを例にとるとにはウォーターフローモデル、V字モデル、プロトタイピングモデル、アジャイルプログラミングモデルなどの開発手法がある。

図II-24-2. 様々な組み込みシステムの開発プロセス

 

【解説】

1) 組み込みシステム開発工程と成果物

* 組み込みシステム開発における工程は、ハードウェア設計、ハードウェア実装、ソフトウェア設計、ソフトウェア実装などにわけられる。

* 各工程において担当者間の意思疎通、次工程への的確な情報伝達、および品質テストや継続的な機能改善のための資料としてドキュメントを残すことが重要である。

* 主なドキュメントには下記がある。

- ハードウェア構成図:基板設計書や利用する部品一覧など

- ソフトウェア構成図:利用言語、機能構成図など

- 制御データフロー図:データと処理の流れをまとめたものなど

- コントロールフロー図:イベントごとのプロセスの起動や停止フローをまとめたものなど

2) 開発手順例

* 開発手順の例として、組み込み開発でのソフトウェアプロダクトを開発するために行われる一連の作業や活動であるソフトウェアプロセスを取り上げる。

* ソフトウェアの開発は過度に知的労働集約的な作業であるために、このプロセスを効率的にかつ創造的に管理する技法によって、ソフトウェアプロダクトの質と開発速度に違いが出る。

* 組み込みソフトウェアプロセスには複数のプロセスモデルがある。

- ウォーターフォールモデル:ウォーターフォールモデルは、要求分析 -> 設計 -> 実装 -> テスト -> 保守・運用 という一連のプロセスが一つの流れに沿って進むモデルである。

- V字モデル:V字モデルは、ウォーターフォールモデルにおけるテストを四つのレベル、単体テスト、統合テスト、機能テスト、システムテストに分けてとらえ、後半の各段階を前半の実装、詳細設計、基本設計、要求分解の段階に対応させたモデルである。

- プロトタイピングモデル:プロトタイピングモデルは、要求分析の段階でプロトタイプの制作を行いその検証をもって、設計 -> 実装 -> テスト -> 保守・運用につなげるモデルで、要求分析段階における要求の曖昧さを減らすことを重視している。

- アジャイルプログラミングモデル:アジャイルプログラミングモデルは、インクリメンタル型プロセスモデルともいわれ、開発対象をモジュール単位、優先度単位、要求の明確な単位に分け、これらの部分開発を繰り返して漸次的に開発を進めるモデルである。要求の決定に時間がかからないようにすることを重視している。

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