II-24-10. インターネット以外の組み込みコンピュータネットワーク

携帯電話による通信や、赤外線通信、ユビキタスネットワークなど、組み込みシステムで利用できるインターネット以外のネットワークアーキテクチャについて解説する。さらに組み込みシステムにおけるIPv6の利用動向についても述べる。

【学習の要点】

* 携帯電話による通信や赤外線、RFIDによるユビキタスネットワークなど、インターネットを離れてもネットワークは広く利用されている。

* 組み込みの分野で市場規模の大きいネットワークの例としては、自動車の車載ネットワークと工場で利用されるFAシステムがあげられる。

* IPv6の普及によりあらゆる機器にIPアドレスを持たせインターネットによる通信が可能となることから、現在は通信機能のない家庭用電化製品への適用など、幅広い利用が期待されている。

図II-24-10. 広がる組み込みコンピュータのネットワーク

 

【解説】

1) インターネット以外の組み込みコンピュータネットワークとIPv6

* 組み込みシステムにおいても、他のシステムと同様に、赤外線通信、ユビキタスネットワークなどのインターネット以外のコンピュータネットワークが利用されている。

* IPv6の普及により、全ての機器やデバイスが個別にIPアドレスを持ちインターネットを利用した通信の実現が可能となり、期待されている。

* 組み込みシステムにおけるIPv6の利用は、TCP/IPプロトコルスタックの実装をハードウェア(ROM化)で行う場合と、ソフトウェアで行う場合がある。ソフトウェアで行う場合は、OSを利用する場合が大多数である。

* インターネット以外の組み込みコンピュータネットワークで市場シェアとして大きいものは、自動車や車両に用いられる車載ネットワークと、生産工場で利用されるFAネットワークである。

2) 車載ネットワーク

* 組み込みシステムとして自動車を見た場合、組み込みインターネットなどの情報ネットワークに比べて、高度の信頼性、リアルタイムの保証性が必要とされる。この車載ネットワークについては国際標準化が行われ、オープン化が進行している。

* 自動車向けの制御ネットワークとして国際標準として利用されているのがCAN(Controller Area Network)である。

* アクチュエーターやセンサなどのデバイスをつなぐための低速・低コストのネットワークとしては、LIN(Local Interconnect Network)が利用されている。

* CANはマルチマスタ方式のバス型ネットワークである。一つのバスに複数のノードが繋がれており、通信はすべてのノードにメッセージのブロードキャストが行われる。メッセージにはIDがついており、このIDが優先度を表す。各ノードはIDをみて自分に必要なメッセージを取り込む。

* CANにおいては、プロードキャストと優先度の確保がリアルタイムの保証を担保することになる。

3) FAネットワーク

* FAシステムのネットワークも高度の信頼性とリアルタイム保証が求められる分野である。

* FAシステムの組み込みシステムネットワークについては、次の三つのレベルに分けて考えることができる。

- コンピュータレベル:工場全体の管理を行う。

- コントローラレベル:生産ラインごとの管理・制御。

- デバイスレベル:一つの製造機器における制御コンピュータとセンサ・アクチュエータの管理。

* コンピュータレベルのネットワークにはEthernetを利用してTCP/IP経由の情報系ネットワークが利用されることが多い。

* DeviceNet(http://securesite.jp/ODVA/devicenet/)はコントローラ及びデバイスレベルのネットワークで、車載ネットワークであるCANをそのまま流用する。

* CC-Linkはコントローラ及びデバイスレベルのネットワークで、マスタースレーブ型のバス型ネットワークである。CC-Linkは日本の業界団体による普及活動が行われている。

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