II-26-8. 組み込みアプリケーションの実装事例

組み込みアプリケーションの実装事例を紹介する。実際の事例として自動車に組み込まれたアプリケーションの例、携帯電話のアプリケーション例、産業用ロボットの動作制御、カーナビゲーションシステムなどを挙げる。

【学習の要点】

* 組み込みアプリケーションの実装例である、自動車、携帯電話、ロボットなどから組み込みアプリケーションの現状を知る。

* 国際標準化の流れが組み込みアプリケーションの分野でも起きている。JasPar (Japan Automotive Software Platform and Architecture)、AUTOSAR(Automotive Open System Architecture)、OSGi(Open Services Gateway initiative)などが該当する。

図II-26-8. Flex Rayバックボーン(自動車の事例)

【解説】

1) 多様な組み込みアプリケーションの実装仕様の事例研究

* 自動車ボディ制御

- 複数マイコンとのネットワーク連携、センサー制御などを行う際に、ECU(電子制御ユニット)への組み込みソフトウェア開発が行われる。そのコード量は増加の一途を辿っている。

- 自動車ボディから取得される情報は、カーナビゲーションシステムや自動車に積載されるその他の組み込みシステムでも活用すべく車内LAN(CAN)を介して共有されるようになりつつある。

* 携帯電話アプリケーション

- 高機能化、複雑化、大規模化の進む携帯電話アプリケーションの設計に関して、限定された動作環境における機能配分を考えなければならない。

- 携帯電話に組み込まれるソフトウェアはモジュール化が進んでいる。ハードウェアの制約を加味して、モジュールの取捨選択と効果的な実装を考える。

* 産業ロボット動作制御

- 精密動作制御において、リアルタイム性の制約を満たす仕組みを考慮する。リアルタイム性が求められる場合は、リアルタイムOSの利用が効果的である。

- 産業ロボットの稼働環境は悪条件である場合が多い。障害特性を考慮し、エラーリカバリなどソフトウェアで復帰する手段を検討する必要がある場合もある。

* カーナビゲーションシステム制御

- マルチメディア制御に組み込みソフトウェアが利用される。カーナビゲーション、テレビ、ラジオ、車載情報システムなどを制御している。

- マルチメディア系OSの開発もアプリケーションの開発コストを下げるために進められている。

2) 組み込みシステムの実装仕様の国際標準化

* 自動車

- FlexRayは制御系車内LANインタフェース規格の一つであり、X-by-Wireシステムを実現する規格として注目されている。X-by-Wireシステムでは、車内LANにより、ブレーキなどの制御を行う。

- JasPar (Japan Automotive Software Platform and Architecture)やAUTOSAR(Automotive Open System Architecture)による国際標準化の動向にも着目する必要がある。標準的な開発プラットフォームが導入されつつあり、ECUや開発の量を減らす努力がなされている。

* 携帯電話

- 携帯電話の仕様もオープン化が進行している。Java ME, BREW(Binary Runtime Environment for Wireless)の他、OSGi (Open Services Gateway initiative)、Android, Symbianなどがある。

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