日本語プログラミング言語「ひまわり/なでしこ」 10周年の想い

本コンテンツは、サービス終了したOSS iPediaで公開されていた受賞者インタビューをIPAの許可を得て、転載するものです。

 

日本語プログラミング言語「ひまわり/なでしこ」 10周年の想い

公開日時: 2011-01-12 18:57
酒徳 峰章

プログラマーお断り?!現場で使うと嬉しいプログラミング言語

IT系の勉強会などで「なでしこの作者です」と言って自己紹介すると、「あの日本語プログラミング言語の『なでしこ』ですね」と返してくださる方が増えてきました。ひまわりという言語を皮切りに、コツコツとなでしこの開発を続け、もうすぐ10周年になります。

 なでしこや日本語プログラミング言語を知ってくださっている方が増えてくださって、とても嬉しく思います。しかし、率直なところ、勉強会でお会いするプログラミングがバリバリできる本職の方には、なでしこを勧めていません(※1)。

 というのも、なでしこの開発において一番重点に置いたのは、プログラマーでなくても、誰でも簡単にプログラムを作って活用できるという部分だからです。開発スローガンも「日本語で誰でも簡単プログラマー」を貫いています。ですから、実際に現場で活躍されている方、特に、事務作業、サポート業務、営業や専門職など、パソコンに触れる機会が多い方に役立つツールだと言えます。

 もともと、「日本語プログラミング言語を作る」という発想は、私が事務を中心に働いていた時に思いついたものです。もちろん、私が日本語プログラミング言語を作る以前にも、プログラミング言語はありましたが、「事務」や「雑用係」という立場で思いついて作り出したプログラミング言語であるという部分も、なでしこの大きな特徴だと思っています。

補足※1:しかしながら現役のプログラマーである私自身が、なでしこを使わない日はないくらい使っていますので、本職のプログラマーの方にも役立つ機能満載です。

 
なでしこのWebサイト「http://nadesi.com

1300を超える便利な命令で日々の定型作業を自動化

そして、なでしこの特徴となっているのが、1300個を超える便利な命令群です。例えば『マイドキュメントを「バックアップ.zip」へ圧縮。』などと一行書くと、マイドキュメントにあるファイルを全て圧縮します。また、『エクセル起動』などと書くと、Excelのアプリケーションを起動します。説明がなくても、何となくその動作が分かったのではないでしょうか。こうした便利な命令を組み合わせることで、様々な仕事を自動化することができるのです。

 そうは言っても、あくまでもプログラミング言語ですので、自由に適当な口語で記述しても正しく動作しません。プログラミング言語の宿命です。しかし、これを補うために、なでしこには、専用のエディタが付属しています。このなでしこ専用エディタには、1300を超える命令群を手軽に挿入するための、命令一覧や命令の検索機能が備わっています。画面左側の「命令一覧」のタブを開くと、命令がジャンルごとに分類されており、そこから使いたい命令を選ぶだけで、命令のひな型をエディタに挿入できます。

 
なでしこのエディタ。1300以上の命令のひな型を手軽に挿入できます

熱い想い支えられてきた10年

ところで、なでしこのように「事務の自動化」に完全に特化したプログラミング言語というのは、他にあまり無いのかもしれません。「日本語プログラミング言語」というのは、非常にニッチな世界です。そもそも、日本でしか通用せず、加えて、本職のプログラマーを相手にしていないのです。

 しかしながら、OSCなどのイベントで、なでしこのユーザーの方に会うと、とても熱い想いを語ってくださいます。「プログラムなんかしたことなかったのに作れた」とか「なでしこでプログラミングを覚えた」、「仕事で役立っている」などです。その中には以前BASICを使っていて「最近のプログラミング言語は肌に合わず使っていなかったけれど、なでしこなら使えた」という方もいらっしゃいます。とにかく、日本語プログラミング言語のユーザーさんは「熱い」のです。なぜでしょうか。

 それは、実際に、事務の現場で活用してくださっているからだと思います。有料・無料を問わず便利なソフトは数え切れないほど公開されていますが、やはり、事務の現場は、作業ごとに条件や制限が変化し、それでは使い勝手がよくない場面というのがたくさんあります。その点、自分で作った自分だけのプログラムなら、柔軟に痒いところに手を届かせることができるというのが大きいのだと思っています。(また、ある程度、なでしこに慣れてしまうと、ネットで無料ソフトを探すより、数行のプログラムを書いた方が早いという場面も多くあります。)

 そして、このような熱いユーザーさんの想いに支えられてきたのが、現在のなでしこです。たぶん、オープンソースとして公開していなかったら、こんなにたくさんの命令が提供されることはなかったでしょうし、使い勝手もこれほど洗練されることはなかったと思います。応援してくださるユーザーさんから、たくさんの意見や要望などのフィードバックをいただいて、少しずつ改良し機能を加えて、今の形になっています。

 ですから、私は意見や感想を寄せてくださった皆さんに対する感謝でいっぱいです。オープンソースの開発を続ける上で、こうした意見や感想がどれだけ、モチベーションの向上に貢献したのか測りしれません。

 以上、簡単になでしこについて紹介し、10周年の気持ちを書き綴ってみました。この機会に、なでしこを使ったことのない方はぜひ触ってみてください。そして、応援してくださる皆さん、これからも、なでしこの開発を頑張りますので、引き続きよろしくお願いします。

 

日本語プログラミング言語「なでしこ」
http://nadesi.com
http://なでしこ.jp

 

酒徳 峰章(さかとく みねあき)

「クジラ飛行机」の名義で、いくつかのオープンソースのソフトを開発。 代表作は、テキストで作曲する、テキスト音楽「サクラ」(http://oto.chu.jp)、日本語プログラミング言語「なでしこ」(http://nadesi.com)、HTML/JSでAndroidアプリを作る「jsWaffle」(http://d.aoikujira.com/jsWaffle)など。
2001年にはオンラインソフトウェア大賞に入賞、2004年度IPA未踏ユースでスーパークリエイターに認定、2010年にOSS貢献者賞を受賞。 日本中にプログラミングの楽しさを伝えるため日々奮闘中。
(Webサイトはhttp://kujirahand.com 。)

 

 

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