LuaTeX について

LuaTeX について

公開日時: 2011-02-03 10:12
最終更新日時: 2013-01-15 14:32
角藤 亮

LuaTeX はいわゆる 3H (Hans Hagen, Hartmut Henkel and Taco Hoekwater) によってアクティブに開発が続けられている TeX エンジンである。今のところどんどん変化しており、TeX Live 2010 に同梱されているものも既に古くなっている。
最初の安定版(バージョン 1.0) は 2012 年の春ごろに予定されている。名前が示すようにスクリプト言語 Lua を内蔵している点が大きな特徴である。
3H のうち Taco Hoekwater が殆どのコーディングを行っており、Hartmut Henkel は 主として PDF 出力等に関した部分を担当している。 Hans Hagen は専ら LuaTeX をエンジンとするマクロパッケージ ConTeXt Mark IV の開発を行っている。ConTeXt Mark IV は大量の Lua スクリプトとTeX マクロから成り立っており、LaTeX に代わる首尾一貫したパッケージを目指して開発されている。

LuaTeX は D. Knuth による TeX, P. Breitenlohner と P. Taylor による e-TeX, J. Plaice と Y. Haralambous による Omega, G. Bilotta による Aleph, H. T. Thanhによる pdfTeX をマージした上で、独自の機能を追加したもので、当初は Pascal WEB で書かれていたが、後に C に変更され、現在では殆どのソースは CWEB で書かれている。C から CWEB に変更したのは、D. Knuth の "文芸的プログラミング" を踏襲するためである。
多くの処理系をマージしたといっても、勿論全ての機能を含むわけではない。
例えば ofm はレベル 0 のものしか読まないし、Omega-Aleph の otp (Omega Translation Processes) も Lua によって実現可能ということで現在では廃止されている。pdfTeX に導入された多くの実験的なプリミティブも同様の理由で廃止されている。

LuaTeX は通常の plain TeX, LaTeX のエンジンとして使用することも可能であり、 TeX Live 2009 から dvi を出力する dviluatex, dvilualatex, PDF を出力するluatex, lualatex のフォーマットファイル作成環境が提供されるようになった。
TeX Live 2009 の段階では、ハイフネーション用のパターンファイルをダンプするものが提供されており、この場合、起動が極端に遅いという欠点があった。実際にはLuaTeX の場合、必要に応じてパターンファイルを読むようにできる。
TeX Live 2010 で提供されているものは、この LuaTeX の特長が生かされており、 フォーマット作成時間も起動時間も速くなっている。また、LaTeX に関して従来 XeTeX 専用だった fontspec パッケージを利用することができ、非常に便利になっている。
日本では、pTeX という素晴らしい処理系があるため、韓国や中国に比べて LuaTeX や XeTeX に対する関心があまり高くないと思われるが、既に日本語を美しくタイプセットする試みをしている人もあり、楽しみである。
 

角藤 亮(かくとう あきら)

近畿大学産業理工学部教授
1994年頃から、TeX に関係するアプリケーションの Windows 用バイナリを配布している。
2006年から TeX Live の開発に加わっている。

 

 

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