I-2-6. MPLの特徴、MPLとソフトウェア特許

MPL (Mozilla Public License)の特徴を解説する。OSSの特長であるバザール方式を促進しつつ、商用ソフトとの共存に配慮したこと、特にMPLでは特許との関係性が強調されていることを示す。

【学習の要点】

* MPLライセンスによるOSSを改変した場合は、同じライセンスの適用を求めるが、一体となって動作するが独立する自己開発したソフトウェアについては、別のライセンスを適用することが可能である。

* MPLの特徴のひとつに、トリプルライセンスがあり、MPL/GPL/LGPLの三つのライセンスを併用することも可能である。

* MPLは、GPLと異なり、特許に対し明確な規定をし、特許侵害によるリスクに対応している。

図I-2-6. MPL概念図

 

【解説】

1) MPL(Mozilla Public License)

* 概要

- MPLとは、Mozilla Public License(モジラ・パブリック・ライセンス)の略であり、ネットスケープ社が自社ブラウザのオープンソース化を始めた際のNPL(Netscape Public License)をもとに、ネットスケープ社とMozilla Organization(現Mozilla Foundation)により作成された。

- MPLライセンスによるOSSを改変した場合は、そのOSSと同じライセンスを適用しなければならないが、リンク等で一体化する独立した自己開発コードは任意のライセンスを適用することが可能である。

- MPLでは、「ソースコードをプロジェクトに提供する者は、提供したソース コードにより将来発生しうる特許に関する主張を放棄することになっている」 (*1 37ページ)となっており、GPLに比べ、特許に対する対応が明確に定義されている。

* トリプルライセンス

- MPLでは、対象コードの一部を「複数ライセンスコード」に指定し、再配布者が、MPL/GPL/LGPLからライセンスを選択することを認めている。

- MPL/GPL/LGPL併記でのライセンスも認めており、これをトリプルライセンスとよぶ。

* 特許対応型ライセンス

- 特許を有するソースコードを結合、組み込みを行った場合、GPLでは、「当該特許の再ライセンスを含んだ再頒布を義務づけているものと解釈することができるか疑問」(*1 36ページ)である。

- MPLでは、次のように定め、特許権の侵害による問題に対応をしている。

MPL 2.1.d

「次のような特許ライセンスは許諾されません。1) 対象者がオリジナルコードから削除したコードに関する特許ライセンス、2) オリジナルコードとは別の独立した特許ライセンス、または 3) i) オリジナルコードの修正、または ii) オリジナルコードとほかのソフトウェアもしくは装置の組み合わせ、のいずれかにより生じた権利侵害に関する特許ライセンス。」 [Mozilla Public License Version 1.1]

(*1)「ビジネスユースにおけるオープンソースソフトウェアの法的リスクに関する調査 調査報告書」(2005年2月 独立行政法人 情報処理推進機構/日本OSS推進フォーラム ビジネスWG監修)

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