II-24-9. 組み込みコンピュータを取り巻く今後の環境

携帯電話、PDAのプラットフォームや情報家電など、今後発展が期待される組み込みシステム応用分野の概要や将来展望、それらの現状と発展の動向など、組み込みシステムを取り巻く様々な環境の変化について解説する。

【学習の要点】

* 増大する機能要求と工期の短縮を実現するために、IPベース設計、既存ソフトウェアのライセンス利用、OSの利用はますます強化される。

* ハードウェアとソフトウェアの協調設計も強化される。

* Write Once, Run Everywareが何らかの形で実現される。

* アプリケーションとしてのWebサービスの利用が組み込み端末にも広がる。

* センサ型超小型インターネット端末ネットワークにより、新たな情報サービスが生み出される。

 

図II-24-9. 組み込みコンピュータを取り巻く今後の環境

 

【解説】

1) 増大する機能要求と工期の短縮

* 組み込みコンピュータは、多様化するデバイスインタフェースへの対応、爆発するネットワークサービスへのキャッチアップ、動画等のマルチメディアデータの大量処理というように、ますますの多機能化とデータ処理の速度の増加を求められている。

* その反面、サイズの縮小化や消費電力の低下、そしてマーケットドリブンな工期の短縮化といったことを求められている。

* 開発工数が大きくなるということと、工期を短縮しなければならないという矛盾した状態を解消するために、今後も以下の既存モジュールの利用を軸とした組み込み開発は増えていくだろう。

- IPベース設計

- 既存ソフトウェアのライセンス利用

- OSの利用

2) ハードウェアとソフトウェアの協調設計

* 現在においてもSoCの設計に利用される言語はC言語であり、ソフトウェアアプリケーションの実装に利用される言語もC言語である。このように、将来はハードウェアとソフトウェアの境界を明確に定めることがない、より緊密な協調設計が可能になり、マーケットの要求に素早く応えることが期待できる。

3) Write Once, Run Everywareの実現

* Write Once, Run Everywareとは一度プログラムを書くだけで、どんなシステムでもそのプログラムが動作するという考え方である。現在Java言語はある程度これを実現してはいるが、それでもヴァーチャルマシンのプロセッサ依存やその性能保証という点で十分に機能しているわけではない。

* 今後、ますますプロセッサ性能とメモリが増大し、かつ既存ソフトウェアや汎用OSの利用が広がれば、真のWrite Once, Run Everywareが実現できると期待できる。

4) アプリケーションとしてのWebサービスの利用

* インターネットサービスは今後もますます充実すると考えられる。このために、インターネット用のブラウザアプリケーションがあるだけで、多種多様なサービスを自動的に享受できることになっていく。

* これは、組み込み機器独自のアプリケーション開発をする必要がないということになってくるために、コストの著しい削減と効用の増大につながる。従って、組み込み機器のインターネット対応の傾向はますます強化されるだろう。

5) センサ型超小型インターネット端末ネットワーク

* 今後様々な社会環境や自然環境の状況を刻々と報告する、センサ型の超小型インターネット端末が組み込みシステムとして登場することは容易に考えられる。

* このセンサ型超小型インターネット端末が巨大なセンサネットワークとなり、そのネットワークを利用してより細かくパーソナルな情報サービスを提供することになるだろう。

 

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