2009年度「日本OSS貢献者賞」、「日本OSS奨励賞」

■選定方法
  自薦、他薦により広く推薦を受けた候補者(計57名、10団体)の中から、審査委員会(委員長: 相磯 秀夫/ 東京工科大学 理事)の審査によって受賞者を決定しました。
 
■受賞式
  2009年10月29日(木) 15:30~16:00 明治記念館 1F 曙
※「IPA Forum 20091」のオープンソフトウェア・セッションの中で授賞式を行いました。
 

1

IPA Forum 2009は、IPAの事業活動の成果の紹介と普及促進を目的として開催している主催イベントです。

2009年度「日本OSS貢献者賞」受賞者(4名 50音順)

 

・小崎 資広 (こさき もとひろ) 氏  →受賞内容の詳細

 

・瀧田 佐登子 (たきた さとこ) 氏  →受賞内容の詳細

 

・フェルナンド ルイス バスケス カオ 氏  →受賞内容の詳細

 

・本田 茂広 (ほんだ しげひろ) 氏  →受賞内容の詳細

「2009年度日本OSS奨励賞」の受賞者(6名、2団体 50音順)

(個人)
 

・新井 紀子 (あらい のりこ) 氏  →受賞内容の詳細

 

・安藤 祐介 (あんどう ゆうすけ) 氏  →受賞内容の詳細

 

・新藤 愛大 (しんどう よしひろ) 氏  →受賞内容の詳細

 

・髙木 正弘 (たかぎ まさひろ) 氏  →受賞内容の詳細

 

・寺島 広大 (てらしま こうだい) 氏  →受賞内容の詳細

 

・林 拓人 (はやし たくと) 氏  →受賞内容の詳細

(団体)

 

・山形県立寒河江(さがえ)工業高等学校・情報技術科  →受賞内容の詳細

 

・LOCAL (ローカル)  →受賞内容の詳細

2009年度「日本OSS貢献者賞」、「日本OSS奨励賞」の受賞内容の詳細

「日本OSS貢献者賞」

小崎 資広 (こさき もとひろ) 氏
  Linux カーネル2開発についての活動をしており、特にメモリー管理の大幅な改善の成果は、企業システム分野、組込み分野におけるLinux の飛躍的な性能向上に繋がっている。LKML3での活動をもとに、日本語でLKMLの動向を平易に解説する「Kernel Watch」のWeb連載を行い、また、セキュリティ&プログラミングキャンプ4、コミュニティの勉強会などで、国内エンジニアの技術力向上や国外の開発者とのコミュニケーション力向上にも継続的に取り組むなど、日本のLinuxカーネル開発量の拡大へも影響を与えている。
 
瀧田 佐登子 (たきた さとこ) 氏
  1990 年代よりNetscape5社においてNetscapeブラウザの国際化開発に携わる。その後、オープンソース化したMozillaProject6でも黎明期から精力的に活動を続け、2004年に国内におけるブラウザ市場の活性化やMozilla技術の啓蒙活動を目的とした非営利の公益法人Mozilla Japanを設立。その後、代表理事に就任。Firefox7をはじめとするMozilla製品普及における中心的人物の一人として知られ、現在はOSSをベースとした人材育成にも取り組む。氏の作り上げた基盤をベースに多くのコミュニティメンバーが開発・普及に活躍していることが、広く評価されている。
 
フェルナンド ルイス バスケス カオ 氏
  Linux カーネル開発についての活動をしており、特に「カーネルクラッシュダンプ」8と、「ディスクI/O制御/仮想化」9において貢献し、コミュニティの多くの開発者と協同で信頼性の高いクラッシュダンプ機構を開発し、メインライン10に 取り入れさせた上で、その信頼性を向上させるプロジェクトを立ち上げた。また、仮想化環境におけるゲストOSの入出力の制御を可能にする機能も提案し、 Linuxを安心して使える環境の整備に貢献した。これらの成果は、世界の企業システムが恩恵を受けており、高く評価されている。
 
本田 茂広 (ほんだ しげひろ) 氏
  PostgreSQL11を中心に日本語ドキュメント整備を精力的に続けている。 PostgreSQLが日本において確固たる地位を築いているのは、本田氏の果たした役割が大きいといえる。新バージョンのリリースに対しても、ほぼ同時 期に日本語ドキュメントをリリースするなど大変な努力がうかがえ、こうして整備されてきた日本語ドキュメントは、PostgreSQLユーザにとって貴重 な情報源となっており、ドキュメント整備による貢献を続ける姿は、コミュニティにおける一つのロールモデル(模範)といえる。
 

2

Linuxカーネル:OSSのオペレーティングシステムLinux OSの中核をなす部分。CPU、メモリ、ディスク、入出力デバイス等を制御し、アプ リケーショ ンプログラムの実行管理を行う。

3

Linuxのカーネル開発者のディスカッションメーリングリスト。

4

IPAおよびセキュリティ&プログラミング・コンソーシアムが主催した、選抜された22歳以下の未就労の学生・生徒に対し、高度IT人材の早期発掘と育成にむけて、専門技術を実践的に指導する5 日間の教育キャンプ。

5

グラフィカルなインターネットブラウザを開発した企業。

6

Netscape社が次世代のインターネットスイートを開発するために設立/作成されたフリー/オープンソースプロジェクト。

7

OSS の代表的なWeb ブラウザ。

8

オペレーティングシステムの信頼性を高めるために、OS内部の不具合があった場合にその内部情報を記録して解析可能にする機能。不具合発生時に実行される機能のため、実現が難しい。

9

仮想化技術を適用した際、仮想化された環境における性能を担保するために、ハードウェアやオペレーティングシステムから独立して、データを格納する固定ディスクの入出力を仮想マシンモニターでも制御可能にする技術。

10

Linuxカーネルの本流となるソースコード。正式版として公開される。

11

代表的なOSSオブジェクティブ・リレーショナル・データベース。

「日本OSS奨励賞」(個人)

新井 紀子(あらい のりこ)氏
  Linux OSSの教育用ポータル向けCMS「NetCommons12」を開発、公開した。NetCommonsは、CMS、LMS13、 グループウェアの機能を備えた統合コミュニティウェアである。2001年に国立情報学研究所にて開発を開始、2005 年よりOSSとして公開、2008年の NetCommons バージョン2.1以降は企業からのコード寄付が増大し、機能拡張速度が向上している。2005年から毎年NetCommonsユーザカンファレンスを開催 し、2008 年、2009 年には400 名以上の参加者が集まるなど、その普及の勢いは増している。
 
安藤 祐介(あんどう ゆうすけ)氏
  Web アプリケーション開発フレームワークCakePHP14について、勉強会での講演や関連 書籍の執筆を精力的に行い同コミュニティの日本での発展に大きく寄与した。また米国のメイン開発者とのコミュニケーションを積極的に行い、日本でのイベン トの招聘や海外の国際的イベントへの参加を通じ、日本のコミュニティの活動を海外にも認知させ相互交流の道を開いている。
 
新藤 愛大(しんどう よしひろ)氏
  ActionScript/Flash15アプリケーションの、世界的に知られる若手開発者である。BeInteractive!というサイトでFlashに関する技術情報を発信している。2007年からFlash/Flex/ActionScriptのためのオープンソースリポジトリ、Sparkproject16を立ち上げ、オープンソース文化が根付いていなかった日本のFlashコミュニティにも、ソース公開の重要性と楽しさを広めた。2008年からはSparkprojectによる勉強会も毎月開催しており、技術の啓蒙に大きく貢献している。
 
髙木 正弘(たかぎ まさひろ)氏
  PHP17のマニュアルの日本語翻訳で精力的に活動を続けている。PHPが日本において広く使わ れるようになった理由には、膨大な日本語オンラインマニュアルが整備されていることがあげられる。それら日本語マニュアルの翻訳を行っているのが高木氏を 始めとするPHPマニュアル翻訳プロジェクトである。PHPのフレームワークであるZendFrameworkのマニュアル翻訳にも参加するなど、多くの ユーザが恩恵を受けている。
 
寺島 広大(てらしま こうだい)氏
  運用監視ソフトウェアZABBIX18の日本コミュニティであるZABBIX-JPの代表を努め ている。ZABBIX-JPの黎明期であった 2005 年8月にZABBIX-JPを開催し、日本語ドキュメントの公開や掲示板の運用を行っている。近年、OSSのエンタープライズシステムへの普及に伴って、 運用監視についても急速に注目が集まるなか、そのZABBIX-JPの活動を通じてOSSの運用監視ソフトウェアの普及に多大な貢献をしている。
 
林 拓人(はやし たくと)氏
  高校生ながら独学で言語を開発していたが、U20プログラミングコンテスト19においてコミュニティの存在に気づき、先輩達との交流を経て、自分の開発成果であるCyan20やYellow21言 語を公開、コミュニティのフィードバックを得るようになった。2009年のセキュリティ&プログラミングキャンプにおいては、短い期間でRuby言語 の”!=”という基本的な処理を最適化し、特定ベンチマークにおいて500%の性能改善を達成した。この成果は、Ruby開発にすでに取り込まれるなど、 若いながら実践的な成果を残している。
 

「日本OSS奨励賞」(団体)

山形県立寒河江工業高等学校・情報技術科
(やまがたけんりつ さがえこうぎょうこうとうがっこう・じょうほうぎじゅつか)
  生徒の情報活用能力を育成するためにオープンソースソフトウェアを活用し、オープンな環境の体験や、情報活用の本質を理 解させることで、生徒・教員全体のリテラシー向上をめざしている。また、スペシャリストをめざす生徒には、課題研究等の科目でスキル証明としての Linux技術者認定試験LPIC22取得に向けた取り組みや、実践的活動を展開している。
 
LOCAL (ローカル)
  北海道におけるユーザ会、勉強会などの技術系地域コミュニティの活動を支援するとともに、コミュニティ間の連携イベント企画開催などを通して、地域を盛り上げていくことを目標とする一般社団法人である。オープンソースカンファレンスHokkaido23の現地実行委員会やコミュニティ開催・実施の支援を行っている。その活動は、他の地域に波及しはじめるなど、地域内外で高い評価を得ている。
 

12

OSS の教育機関向けのコンテンツ管理システム(CMS)。教育機関の先生や生徒が、Webページを容易かつ安全に作成することができる。

13

Learning Management System(ラーニング マネージメント システム)の略で、日本語では学習管理システム。

14

PHP のための高速開発フレームワークで、アプリケーションの開発、メンテナンス、インストール等の機能を提供する。

15

Adobe 社が提唱する、グラフィカルなWebアプリケーションを実現する実行環境技術。そのアプリケーション記述言語がActionScriptであり、Webで人気のあるJavascript言語と同様にECMA Script標準に準拠している。

16

新藤氏が主催するFlash開発者のためのソースコード公開サイト。情報を集約するための Wiki と掲示板、ソースコードの問題を管理するチケットシステムを備えている。

17

OSSのスクリプト言語。主に Web サイトやサービスを作成するのに用いられる。

18

OSSの運用監視ソフトウエアのひとつ。

19

経済産業省が主催する20歳以下の学生・生徒を対象としたプログラミングの競技会。

20

LispのS式とマクロの分離を試みた発展途上の先進的プログラミング言語。

21

継続を中心とする評価システムを実装した発展途上の先進的プログラミング言語。

22

Linux Professional Institute Certification, LPI-Japan が運営。

23

日本におけるOSS普及促進の代表的な活動および各コミュニティへの支援活動で、北海道で開催されたもの。

2009年度 日本OSS 貢献者賞審査委員会名簿

  氏 名 所 属
委員長 相磯 秀夫 東京工科大学
委員 石井 達夫 SRA OSS Inc.
(2008年度日本OSS貢献者賞受賞者)
委員 上田 理 ソニー 株式会社
(CE Linux Forum)
委員 大谷 真 湘南工科大学
委員 鈴木 友峰 株式会社 日立製作所
(日本OSS推進フォーラム 座長)
委員 平林 俊一 富士通 株式会社
(Wide Studioの開発者)
(2006年度日本OSS貢献者賞受賞者)
委員 まつもと ゆきひろ 株式会社 ネットワーク応用通信研究所
(Ruby開発者)
(2005年度日本OSS貢献者賞受賞者)
委員 吉藤 英明 慶應義塾大学
(USAGI Project)
(2006年度日本OSS貢献者賞受賞者)

(敬称略、50音順)

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