Ⅱ-3-9. コンピュータ以外への発展

当初は一般のコンピュータがOSSの主たる適用対象であったが、現在では携帯電話やPDA、情報家電といった組み込み分野など様々なアーキテクチャへと対象範囲が拡大している。これらに関して、アプリケーション基盤の構成要素や設計のポイントなどについて説明する。

【学習の要点】

* 携帯電話やPDA、情報家電といった組み込み分野など、一般のコンピュータ以外の分野においてもLinuxをはじめとしたOSSが利用されている。

* 一般のコンピュータ以外のハードウェアでOSSを動作させる場合、リソースや使用できるライブラリの制限を考慮する必要がある。

* Linuxにおけるリアルタイム性の実現など、組み込み用途に適した特長を持つOSSの開発も行われている。

図Ⅱ-3-9. OSSの適用範囲の広がり

【解説】

1) OSSの適用範囲と構成要素

一般のコンピュータ以外の分野においてもアプリケーション基盤の構成要素としてLinuxをはじめとしたOSSが利用されている。

* 携帯電話・PDA

携帯電話・PDAの基本ソフトとしてLinuxが広く利用されている。また、Linuxベースの携帯電話・PDAではGUIツールキットとして同じくOSSのQtが利用される場合も多い。2008年7月現在の動きとして、携帯電話の基本ソフトとして最も利用率の高いSymbian OSのオープンソース化が発表されている。さらに、Linuxをベースとした新たなモバイル機器用ソフトウェア基盤としてAndroidが発表され、注目を集めている。

* その他の機器

各種ネットワーク機器やデジタル家電の多くの製品でLinuxをはじめとしたOSSが利用されている。

2) 一般のコンピュータ以外のハードウェアにおけるOSS

一般のコンピュータ以外のハードウェアにおいて、Linuxのようなオープンな仕様のソフトウェアをアプリケーション開発の基盤として用いることにより、TCP/IPによるネットワーク機能に代表される豊富な機能を利用できる他、アプリケーションの仕様や開発方法を共通化できるというメリットがある。例えばOSとしてLinuxが搭載された機器では、通常のPCと同様の開発方法を採ることが可能な場合も多い。しかしながら、共通のアプリケーション開発基盤を利用した場合でも、ハードウェア毎に使用できるリソースやライブラリの制限が存在することがほとんどであり、開発の際にはこれらの制限を考慮する必要がある。

3) 組み込みに特化したOSS

Linuxにおけるリアルタイム性の実現など、組み込み用途に適した特長を持つOSSの研究・開発が継続的に行われている。

* CE Linuxフォーラム(http://www.celinuxforum.org)では、家電や携帯電話を対象にしたLinuxの機能強化・普及促進を目的として様々な活動が行われている。Webサイトでは、組み込みLinuxに関する技術情報や、消費者向け電気製品で利用されるLinuxに対する要求仕様、およびLinuxカーネルのパッチなどが公開されており、その成果を利用できる。

* リアルタイム性やリソースが限られた状況での動作など、組み込み用途向けの機能を実現したLinuxディストリビューションとしてMontaVista Linux、Wind River Linuxなどが挙げられる。

OSS Course Naviのコンテンツは IPA OSS モデルカリキュラムを基としています。

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